ブラックパンサー観た。”アベンジャーズ前夜祭”とかナメてすみません!
大変遅まきながら観てきた、『ブラックパンサー』。
都内でももう劇場上映回数もまばらになってきて、たまたま時間の合う、けど遠いユナイテッドシネマ豊洲にて観てきた。
(キッザニアの盛況ぶりがとにかく凄まじかった…)
予告編はこちら。
箇条書きに結論を先に言うと、
- シンプルにメチャクチャ楽しんだ!!!
- キャラ全員かっこよすぎるよ…
- キルモンガー演じるマイケル・B・ジョーダン最高!
- 早く『ブラックパンサー』の続編が観たい!
- ワカンダ・フォーエバー!!!
ぶっちゃけナメてました、すみません!!
正直、ブラックパンサーに対する昨年までの私的想いとしては「アベンジャーズ公開前の前夜祭的映画でしょ?」くらいに、ぶっちゃけナメていた。
控えめにいっても2018年最大の話題作であることは否定しようのない『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の公開1ヶ月半ほど前にブラックパンサーがやる、しかもキャラ自体、スパイダーマンほど知らないヒーローの1作目。
昨年公開された3本のマーベル・シネマティック・ユニバース作品(以下MCU)のうち、『ドクター・ストレンジ』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』が個人的肩透かしを喰らったこともあり、申し訳ないけど本作については「ん〜なんかノラねぇな〜…」と思っていた。
監督があの『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・クーグラー監督であることには若干の期待感を持てていた。
ただ、同作にも出ているマイケル・B・ジョーダンが出演したインデペンデント系SF映画『クロニクル』で見事大ブレイクを果たしたジョシュ・トランク監督がハリウッドに見事フックアップされて次に監督したリブート版『ファンタスティック・フォー』がまぁ批評的にも興行的にも大失敗に終わった直近の例(まぁこちらは20世紀FOX作品ですが…)もあり、いくら『クリード〜』で大規模作品でも見事な手腕ぶりを証明したライアン・クーグラー監督とはいえ、監督3作目にしてアメコミ映画はやれるのか?と資質についても勝手に心配していた。
また、『ブラックパンサー』の公開自体、ライアン・クーグラー監督をはじめ、主要キャスト、楽曲提供ほぼすべて黒人で固めた座組みの本作を、集大成である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の直前に公開するあたり、(いまとなっては勘違い甚だしいが非常に申し訳ないことに)黒人映画に対する作り手の期待値の低さでもあるのかな、とさえ勝手に思い、その結果「アベンジャーズ公開前の前夜祭的映画でしょ?」という完全に穿った見方をしてしまっていた。
ところがどっこい、本作が全米で公開始まると、「スターウォーズフォースの覚醒を超え、歴代No. 1のオープニング記録!」「全米歴代興行収入第4位!」など、トンデモナイ大ヒット記録であったり、本作がアメリカの映画史に刻んだ偉業ぶりを伝えるニュースが報じられ、単なる「アベンジャーズの前夜祭」という枠をゆうに超え、全米における本作の多大なる影響の大きさを感じた。
諸々家庭の事情が重なり、なかなか観に行けなかった本作だが、いざ観に行くと思わずガッツポーズし、そして「恐れ入りました!!大変楽しませていただきました!!!」
『ブラックパンサー』のここが良かった!
良かったポイント①架空の国家ワカンダがちゃんと魅力的!
まずシンプルにワカンダの慣習、文化がちゃんと魅力あるものとしてわかりやすく描かれている。観終わったら御多分に漏れず、観た人と「ワカンダ・フォーエバー!」って思わずやりたくなる。ここでちゃんと魅力掴まれただけでも、観る価値あり!だった。
日本人に馴染みない民族特有の文化(にSF的スパイスが大量投下されてる)や、王の在り方など、直近日本でも公開されたインド映画の大傑作『バーフバリ』二部作と重ねて観てしまうこともあるが、これはこれで最高。
ティ・チャラの側近、隣の民族(エムバク最高!)、それぞれがひとつの国家として脇役としてちゃんと生きているため、魅力的。
また、武器や乗り物などのガジェットに関しても、これまでのMCU作品にはなかったフレッシュなものが多く、観ていて素直に楽しい。
ただ、ガジェットに関してはMCU公開作の中では1本前にあたる『マイティ・ソー/バトル・ロイヤル』でも新しいガジェットがたくさん出てきたこともあり、新鮮なガジェットを見る、という行為そのものに若干免疫付いてしまっているためか、実はここはあまり興奮せず。
良かったポイント②実はハードな作品テーマ
ワカンダという、他国から閉じた文化自体の栄光の一方である世界の悲惨さの明暗がよくできている。
世界から見ればただの農業国に過ぎないと思われていたワカンダが、実はどの先進国よりも優れた技術を持つ鎖国国家で、自国が繁栄する一方で世界は凄惨な出来事が絶えない。
ゆえに今回のヴィラン、キルモンガー(を演じるはライアン・クーグラー監督作すべてに出ているマイケル・B・ジョーダン!)の出自は観ていて居たたまれない想いになる。
彼の行動そのものは非常に過激ではあるものの、これまでのMCU作品のヴィランと比べても、行動の裏には実はハードな現実との対峙という、悲しいベースがあり、作品テーマとも見事にマッチしている。
ティ・チャラ国王=ブラックパンサーは自国の技術力を”武力行使”としてではなく、平和的協調の手段として世界各国に普及させることで真の意味で世界に開けた国家を目指した方が良いのでは、と考えるのに対し、キルモンガーは世界の痛みを知っているからこそ圧倒的暴力による解決しかないと考える、まさに表裏一体の関係を見事に体現している。
良かったポイント③これまでのMCUヒーローとも異なるヒーロー像
MCUヒーローでイチ国家の王、というとマイティ・ソーをつい連想させられる。
自身の理念をどう世界と向き合わせるか、というテーマ自体はキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースとも似ている。
また、技術力の高い自国の資産≒武力を世界の平和のために如何に使うか、というテーマ自体はアイアンマン=トニー・スタークとも通じる。
ソーとスティーブとトニー、そしてティ・チャラ。
それぞれ置かれる立場も出自も性格も全く異なるため、その立場によって描かれるドラマは当然異なるが、MCUがこれまで描いてきたこれらテーマ、功罪について、真の意味で平和的に推し進めていくためにも、ブラックパンサーの次回作以降立つべき場所はより重要になってくると思う。それは、悲しいことに人種差別がいまなお根付くアメリカ史における現在とも重なる。
だからこそ、アメリカで本作は記録的大ヒットとなっているのかな。
ソー三部作は作品毎にカラーの振れ幅が激しすぎるシリーズのため、上でも少し触れたとおり、『〜バトルロイヤル』のときには、ソーというキャラ自体にもシリーズ自体にももはや若干食傷気味になっていた。
また、アベンジャーズのメインストーリーに大きく絡むコトの多いキャプテン・アメリカ三部作、中でも『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は、(作品テーマ上、仕方ないとはいえ)MCU世界のインフレを崩し、取り留めもない所にまで行ってしまった。
その点、ブラックパンサー=ティ・チャラが劇中最後に示した、世界に開けた姿勢は、これまでMCU作品が抱えてきたテーマに対し、ヒーローである前に国王である彼ならではのメッセージが込められており、思わずグッと来た。
と、同時に、この決断を下したということは、次回作以降、どう世界と向き合っていくのか、本当の意味で王としての資質が問われ始める展開が予想され、否が応でも次回作への期待を高まる!
ついに間もなく公開予定の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でも、劇中最大のバトルとなるであろう舞台はワカンダっぽいのでこれも楽しみー!!
てな訳で一応『〜インフィニティ・ウォー』の予告編貼っておきます。
ナメててホントすみませんでした!ワカンダ・フォーエバー!!